■07/12/10 【第54回】データアーカイブとその課題 第8回

■EコマースとERP
 ERP(Enterprise Resource Planning)導入の目的は、電子コミュニティ時代のビジネスに適合するために、業務フローを見直し、新しい業務フローにあわせて企業組織・風土を変革し、これらの結果に添うようにビジネスモデルやビジネス習慣を刷新すること(BPR=Business Process Reengineering)にある。

 その本質は、従来の文字情報・口頭情報に頼っていた商取引を、インターネットによる電子情報を介した電子商取引(Eコマース)に革新し、質・量ともに情報の高速度化と共有化をはかり、業務効率を格段に上げることで、業績上昇を見込める体質に変革することである。ERPの特徴は、

1.受発注、在庫管理、販売管理、生産管理、経理処理などの基幹業務機能
2.在庫移動にともなう数字の移動が、在庫数に限らず原価計算、仕入計算、債券管理などにも自動的に反映される統合機能
3.1、2から各部門ごとの情報が自動的に更新され、部門間の情報差異がなくなる情報統合機能

にある。この3つに加え、前述したBPRが実現されることで、Eコマースへの対応が強化されることになるのである。

 Eコマースには、主に以下のような利便性がある。
・ エクストラネットやインターネットを使用した商品ガイドや商品案内
・ 商品在庫、配送予定、販売予定の物流担当者との確認
・ 設計図、ラフスケッチ(画像・イラスト)などの具体的なイメージ交換
・ 経営情報や機密情報などの「特別情報」の入手、意見交換

そのほかの主な機能としては、顧客がインターネットを介して、欲しいときに欲しいものが、欲しい数だけ入手できる「電子商取引」がある。

■EコマースとERPの問題点
 企業のホームページ上の商品情報は、巨大な商品情報を保有するアーカイブから成る。顧客は、お気に入りの商品を画面から検索機能を使用して探そうとする。しかしユーザがお気に入りの商品にたどり着くまでには、下記に挙げるようなさまざまな障害がある。

1.検索機能が的確な商品を探し出さない。例えば、膨大な商品を検索する上で、「価格順」「売れ行き順」「ユーザ評価順」などの検索基準が妥当でない場合がある。
2.色、サイズ、形体などが詳細に明記されず、また表面的な写真しかないため立体的なイメージがわかない。
3.商品がどの用途に合うのかが明確でない。
4.取引形態や支払い手段(カードやキャッシュ)がわかりにくい。
5.配送方法に関するオプション(選択肢)が少ない。
6.購入希望商品の一覧が現れず、商品が到着するまで何をどれだけ買ったかがわからない。
7.希望する商品がない場合、類似品や新商品などの情報提供がない。
8.在庫の提示数が不適切で、在庫がないのに「在庫あり」になっている(リアルタイム情報の欠如)

 ERPは、このようなインターネットを介したEコマースに対応するために、設計、購買、製造、販売、営業、情報、技術など、主たる企業情報を統括した。しかし、それを情報として顧客に提供する機能が不完全なことから、新しい機能を含んだERPが開発され始めている。それは、入力されたデータが全システムと連動し、更新されることを前提に定点的なデータ更新が自動的に行われ、リアルな数字(例えば在庫数など)に反映されるシステムである。モバイル機能によるERPシステムへのアクセスが可能になること、バーコード処理によるERPシステムへのリアルな情報提供が可能になることで、データ更新の即時性と正確性が高まるのである。

 しかしながら、ERPは一企業内では統合が可能でも、他社システムとの連動が進まず、EAI(Enterprise Application Integration)による企業間システムの「データ翻訳」ソフトを必要とするが、EAIの導入によりすべてが解決するわけでもない。更なるEコマースを進めるためには、新たな開発コストは免れないだろう。また、企業間、顧客を結ぶ情報ネットワークの構築が行われ、例えば原料メーカー、製造業者、在庫・物流業者、ユーザが直結されたとしても、情報誤差のリスクは回避されるが、情報が連結することでセキュリティリスクがより高まることも心配される。