
■ERP(Enterprise Resource Planning)の普及
パッケージ化されたERPシステムは、2006年には日本の企業の4割に導入され、売上総額は1000億円を超えたと言われている。欧米では7割以上の導入実績があり、企業のシステム管理、データ管理に欠かせない情報統合管理の要となっている。ここ数年では、中堅中小企業クラスにもERPの普及が進んでおり、その要因としては、従来の欧米製に対して日本製のものが台頭し、日本企業のニーズに合致したシステムが整ってきたことが挙げられる。加えて、10年前には10億円かかった導入費用が、現在では3000万円程で済むようになったことも大きく影響している。
しかし導入の結果、失敗してしまった事例も多く見られる。その原因としては、以下のようなことが考えられる。
1.コスト・品質・納期に見合った導入意図の不在
2.目的と社風(業務慣習)に合わないパッケージの導入
3.1、2から生じる理想と現実(導入効果)とのギャップ
4.3を原因とするカスタマイズとアドオンの増大
これらが、開発費用・保守費用の無駄、システム変更による業務負担の増大につながってしまうのである。
ERPパッケージを導入する際のポイントは、パッケージ内容に業務内容を適用するか、業務内容にパッケージを適用するかにある。パッケージに業務内容を合わせることで業務改善を図るか、あるいは業務内容にパッケージを適用することで、必要最小限のカスタマイズを図るのである。しかし、カスタマイズはバージョンアップの際に反映されず別途コストがかさむ上に、業務内容を変えずにパッケージの必要なところだけを使用すると、現状の業務に新たな業務が加わることになり、業務に過重な負担がかかってしまう。
このことから、ERPパッケージ導入の際には、ERPパッケージの内容と業務内容のすり合わせ、導入目的と目標の設定、費用対効果、納期、将来のシステム変更までをも視野に入れ検討することが求められるのである。
単なる業務効率アップ、改善の範囲であれば、ERPを導入するまでもなく、個別業務間の情報を連携させるソフトを活用することも可能である。ERPを導入するためには、企業内のIT化とBPR(Business Process Re-engineering)の進度を見定めて導入する必要があるだろう。
■情報資産としてのERPの課題
ERPを導入する前提として、企業は、
1.情報共有化
2.情報リテラシー
3.情報ネットワーク構築
ができている必要がある。導入計画から導入予定期日までの間に、1~3を通して情報の一元管理化の下地づくりを行うことが、ERP導入成功の鍵となる。
優れた経営支援のためのITツールは、情報共有を進めるグループウェア、生産・調達を効率化するSCM(サプライチェーン・マネジメント)、顧客関係構築に役立つCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)、営業活動を支援するSFA(セールス・フォース・オートメーション)などERP以外にもさまざまなものがある。重要なことは、これらのツールの導入は業務システムを「情報ネットワーク資産」と位置付け、情報業務系の基幹システムとしてERPを、対顧客系システムであるSFAやCTI(Computer Telephony Integration)などのCRMに、e-mailやEC(イーコマース)などのe-CRMを、情報収集・蓄積・分析するDWH(データウェアハウス)システムに連動することである。
このようにERPの導入には、マーケティング活動や営業活動と社内情報管理活動が連動することによって蓄積された情報を参照・分析できる総合システム(DWH)をも前提にしておく必要がある。CRMシステム、DWHシステムとERPシステムとのスムーズな連携がない場合、ERPによる情報は閉鎖的な単なる蓄積情報となり、生きた対顧客情報であるCRM情報と結びつかず、両方の情報を取り入れた市場戦略や経営戦略を導き出すことが困難になる。しかし、情報システムが緊密になればなるほど、誤データや情報入力ミスが、企業戦略に重大な「痛手」を及ぼすことも自覚しなければならないだろう。