
■ハードウェアとストレージシステム
そもそもストレージとは「保管」「貯蔵」を意味する言葉である。増大するデータの管理、万が一に備えたデータのバックアップ体制、法規制によるデータのアーカイブ化を進める上で、これらのデータを保存するハードウェアであるストレージシステムに目を向けることは重要である。
データを保存するための技術は、IT環境の急速な変化のもと、処理スピードと容量のバランスによってさまざまなものが開発された。データ保存用として一般的なハードディスクのほか、主なものとして以下の4つがある。
1.CPUレジスタ
2.キャッシュメモリ
3.メインメモリ(RAM/Random Access Memory)
4.テープ・光学ディスク
CPUレジスタは、データの高速処理が可能であるが、低容量で拡張機能に限界があり、またコストが高いという特徴をもつ。CPUレジスタ数を上げるにしても別のCPUへ移行する手間がかかり、変更には大変経費がかかる。
キャッシュメモリは、CPUレジスタと安定したメインシステム間のメモリの緩衝域(バッファ)として機能する。このような性質から、キャッシュメモリは常にCPUと同じ速度を保つことを求められる。ハードウェアシステムはデータを読み込む際に、まずキャッシュを探し、そこにデータが存在しなければメインメモリを訪れる。キャッシュは容量の小さいバッファであるから、メインメモリ内のデータはある程度まとまった単位で分割され、CPUのアクセスに応じてキャッシュへ保存される。こうすることで、キャッシュに読み込むデータが存在する確率が高まり、全体としてデータへのアクセスが高速化される。
CPUによって更新されたデータはキャッシュに書き込まれ、メインメモリに高速度で書き込みされる。書き込み方法には、データを即座にメインメモリに書き込むライトスルーキャッシング、変更データの書き込みに時間差をつけるライトバックキャッシングの2種類がある。
メインメモリは、CPUレジスタやキャッシュメモリに比べて大量のデータを記憶できる。それはデータとプログラムの記憶装置であり、RAMチップとよばれる記憶集積回路である。RAMチップは、
1.データ接続
2.データ出入統制
3.アドレス接続(保管場所統制)
によってRAM内のデータ管理をおこなっている。この手順はナノ秒単位の高速度処理がなされている。
テープ・光学ディスクは、持ち運びに優れ、保管場所さえ問題がなければ容量増加も容易にできる点でハードディスクより優れるが、目的のデータへのアクセスに時間がかかりすぎるのが難点である。また、企業の情報管理には、その汎用性の高さから情報漏えいを懸念し、制限されるべき対象になりつつある。
■ハードディスクと仮想化
ハードディスクは、CPUレジスタ・キャッシュメモリ・メインメモリが電源を確保することによってその機能を果しているのに比べ、電源が切られてもデータを保持する機能をもっている。また、データ容量がメインメモリの10~100倍を超えるという利点があるが、データ保存速度はキャッシュやメインメモリと比べて遅いことも特徴的である。ハードディスクは通常パソコン内部に内蔵され、そのほかにディスク装置として外付けされたりと、データ保管庫の役割を果している。
近年では、データの保管とともに、制御機能をもつRAID(Redundant Array Inexpensive Disk)がハ-ドディスクの冗長化を補うようになった。RAIDにはその機能によっていくつかのレベルがある。
RAID0 : 複数のディスクにデータを振り分け、同時進行のデータ記録が可能。読み書きが高速化されるが冗長性はない。
RAID1 : 複数のディスクに同じデータを同時に書き込み可能。復旧は早いが利用効率が悪い。
RAID3 : 複数あるディスクのうち1台を誤り訂正符号の記録(パリティ)に割り当て、他のディスクにデータを分散して記録する。
RAID5 : データからパリティを生成し、データとともに分散記録をおこなう。1台のディスクが障害を起こしてもデータの復旧が可能であり、パフォーマンスやディスクの利用効率も良い。
このようなハードディスクの信頼性やパフォーマンスの向上は、さらに仮想化技術の導入によって、複数のストレージやサーバなどを単一のデバイスのように利用することも可能にした。そうしてリソースの共有化、配分を可能にし、運用適性の高いシステムを実現させたのである。