
■データ蓄積とIT環境
企業をとりまくIT環境は、保存データの著しい増加によって、ややもすると思いがけない機能低下に見舞われがちである。電子メールやシステム・ログ、製造から販売・経理にいたる膨大な実績データは、ただ蓄積されっぱなしの時代から、データ活用とその保存方法、またデータ蓄積がITシステム全体に与える影響なども考慮にいれて、取り扱われなければならない時機にきている。
このようなIT環境の変化は、場あたり的なシステム構築を繰り返しながら個々のビジネス課題に対応し続けるこれまでのIT環境に、2つの新たな課題をもたらしている。
1.大量情報の保存とその高速度転送の問題
2.必要なときに必要なデータを短時間でとりだせる「情報コントロール」問題
この二つの課題をクリアすることは、これからのIT環境において必要不可欠である。
しかしながら現状では、ビジネス要件に応じたハードウェア・ソフトウェア導入、アプリケーションシステム構築がもたらしたものは、システムの互換性の欠如、整合性の不均衡、バックアップデータの圧迫などであり、ひいてはサーバの負担やユーザサービス低下、社員意欲の減退を招いている。このような状況を見過ごすと、経営に大きな支障をきたすことにもなりかねない。
■データ蓄積と情報資産管理
データ量の爆発的な増加の主な原因は、デジタル化されたデータ(画像・動画)・顧客情報データの増大とマニュアルや説明資料などの文書ファイルの共有化、さらにそうしたデータの一部を電子メールで配布・保存することにある。紙媒体から電子媒体への保存化が進んでいることに加え、昨今の法規制(電子帳簿保存法・e-文書法・個人情報保護法など)、コンプライアンスの強化によって、情報漏えいや情報改ざん、または個人情報流出などの問題が発生した場合は、電子データを開示しなければならないということが、保存するべきデータ量をますます増加させるという悪循環をおこしている。当然、企業はデータに関する「管理方針」「取り扱いマニュアル」などを含めた「情報管理規程」に準ずる「電子データ管理規程」を持たねばならず、データに関する考え方、価値観を共有化することが求められている。
ここで大切なことは、まずはデータを必要なものと不必要なものに区分し、捨てるべきデータ、利用頻度と目的に応じて再利用するリファレンスデータ、常時使用するオペレーショナルデータに整理することである。現在では、オペレーショナルデータとリファレンスデータのデータ量は平均2:8の割合とされるが、リファレンスデータの増大によって管理コストが増加していくことが、一定期間データを保存するアーカイブの問題として再考されるようになった。データ管理者はデータの量と質の両面管理を求められ、個々のデータの生成から活用・保存・削除までのデータサイクルを視野に入れながら、データ全体の構成、データの量的管理を行わなければならなくなったのである。このようなデータ管理の考え方は、情報ライフサイクル管理(ILM:Information Lifecycle Management)といわれる。
このILMでは、情報を資産と定義し、機械や建物、現金などと同様に、情報をデータの生成から廃棄まで一貫して管理する手法がとられている。それは先述した即時要求データ(オペレーショナルデータ)、保管義務データ・証拠データ・再利用データ・参照用データ(リファレンスデータ)を経て廃棄データへと、情報を「情報の一生」としてコントロールするのである。
このような効率的なデータ管理は、データの改ざん・破損・紛失・盗難を防止するというデータの質の管理と、画像・動画・顧客情報・マニュアルや説明資料などの文書ファイルといったデータの量の管理を、データ使用頻度と保存期間に即して最適化する役割を果たしている。