■07/04/09 【第37回】ITIL導入 運用管理定着の実際 第7回

■構成管理
 構成管理は変更管理に基づくものであり、変更作業の影響を直接受ける。現状が正確に明記されていることを前提とする構成図によって管理が成り立ち、その構成図は構成されるデータの定期的な更新によって保証される。構成図が現状に合致していないと、誤った対策が導き出され、予期しないトラブルを引き起こす可能性も高く、インシデント管理、問題管理にも影響を及ぼしかねない。


 そのような危険性を回避するためには、データ定義、データ管理、タイムリーなデータ更新、更新状況の把握・確認などを行う、システム全体の整合的な管理が求められる。それに対応するための管理情報として、ITサービス構成要素、システム稼働手順、システム構成要素一覧、構成要素履歴情報、インシデント情報、インシデント対応情報などを、構成管理データベース(CMDB)化する。構成管理は、ITサービス提供のためのシステムを構成するハードウェアおよびソフトウェアについて管理するものであり、具体的には「システム構成図」「ディスク配置図」などのハードウェア、「ソフトウェア構成図」「ソフトウェア一覧図」などのソフトウェア、加えて「レイアウト図」「電源系統図」などの電源設備に関する管理を総合的に行うものである。また、構成管理データベース(CMDB)を保存するハードウェアの故障に備えて、バックアップシステムを必要とすることから、可用性管理とも関連してくる。

 構成管理データを最新の情報に保持することは容易ではない。構成管理監督者は、構成管理データの更新状況、データベースの運用、他の管理システムからのデータの登録・破棄、構成要素を俯瞰できる構成図が、現状から乖離していないかなどを継続して点検していく必要がある。いわば構成管理は変更管理、問題管理、インシデント管理、リリース管理などをも「管理」するITILの基幹であり、ITサービス機能の要といえるだろう。

■ITIL導入後の定着について
 ITILを導入しても、定着させるのがなかなか難しいという声もある。ITILの導入にあたって大切なことは、

1.ITIL導入の意義、目的、目標を共有すること
2.現状の業務レベルや改善点を知り、その情報を共有化すること
3.IT活用、ITサービスの高度化を可能にする目標とそのプロセスを具体化すること
4.業務改善の実際と経営課題とのすりあわせから、ITIL導入の優先順位を作り上げること
5.1の目標を達成するために、中長期計画を詳細化すること
6.導入成功のための組織体制、推進責任体制を設け、プロセス評価を常時行うこと

である。未定着の原因が、この6項目の具体化、すなわち数値・期限・責任などが曖昧で判断できない場合と、具体化はしたものの取り組みが不十分で成果が出ない場合とでは、その対処方法は大きく異なる。

 前者の場合、ITIL導入意義の社内共有化が失敗した例といえるだろう。導入時の膨大な資料作成、現状把握が無駄にならないように、再度、社内コンセンサスを高めるほかない。数値化はされたが期限が曖昧、期限は定められたが責任は曖昧といったことになり、叱責と言い訳が横行して日常業務にも影響が出るようでは、なおさらである。

 後者の場合は、導入後のプロセスにおいて弱点を見極め、個々の問題点の改善とともに、全体のプロセス管理を強めることが大切である。ITIL導入計画が明確であれば、計画に対して現状を照らし合わせることにより、問題点を明らかにすることができる。そこから、計画の修正、改善も図れる。ITIL導入により日常業務の負担感が出ているようであれば、経営計画、業務計画に対してITIL定着業務がうまく連動していないことも考えられる。

 ITILを定着させるには、業務計画とITIL定着業務が連動するように「心理的」要因を浮かび上がらせ、業務の融合、効率化などを同時に行うことも視野に入れて取り組むことが求められる。負担感が大きく改善が困難である場合は、一部業務をアウトソーシングするなども考慮すべきだろう。ただし、その場合でも単なる委託ではなく、協業と考えることが大切である。