■07/02/26 【第34回】ITIL導入 運用管理定着の実際 第4回

■ITサービス継続性管理
 ITIL運用において、万が一の災害に備えるためのITサービス「継続性管理」は、ビジネスへの影響を最小限(許容範囲)にとどめることを目的としている。それは、

1.経営計画とビジネス継続計画に基づいた災害対策用システムを構築すること
2.ビジネス継続計画として、災害時から復旧までの管理要件をタイムテーブルに合わせ、建物、設備、機器の復旧、システムリカバリー、データバックアップなどを視野に入れたシステムを構築すること

である。


 大切なことは、復旧するにあたり、リカバリタイムとリカバリポイントを設定することである。リカバリタイムは被災後の復旧にかかる時間であり、リカバリポイントはシステムをどの状態に復旧するかというポイントである。この2点は、ITサービス継続性管理に欠かすことができない要件であり、被災後、可能な限り早く、正確に復旧することが「ビジネス継続」の使命であり、ITサ-ビス継続性管理の根本的な役割なのである。

 しかし、非常事態を想定してあまりにも詳細な「復元」を要求すると、経営計画を圧迫しかねない経費がかかるため、リスク評価を考慮した上で要件項目に優先順位をつけ、ビジネスの現状とITサービスの適性とを照合して、復旧システムを構築することが求められる。そのためには、日常のシステムをバックアップするためのバックアップセンターを構築し、ユーザデータ、アプリケーションデータなどデータの保管および更新から、メインシステムとバックアップシステムの同時連動システムまでを検討範囲として考慮したい。

 最も安価な方法としては、ユーザデータのみをバックアップし、ネットワーク、ハードウェア、アプリケーションなどを、外部の第三者が提供するサービスを利用するという方法もある。いずれにしても、万が一に備えて「復旧マニュアル」を作成し、「マニュアル」による想定訓練を日頃から行い、検証しておく必要がある。マニュアルはあるが、「復旧に時間がかかりすぎた」「復旧後のシステム異常」「データ破損」などがあっては、何のための「ITサービス継続性管理」かわからなくなってしまう。マニュアルは、システム復旧手順と同時に、関係省庁やユーザへの対応を視野に入れて、部署ごとの対応までを考慮した上で作成することが望まれる。そして作成したまま「使えないマニュアル」にならないためには、やはり日頃の「社内教育」も重要なことになろう。

■ITサービスとサービスデスク
 ITサービス継続性管理の目的はITサービスを継続するためにあるが、その真意は、被災時にもユーザへのサービスを途切れなく提供し、ユーザ満足度を維持することにある。災害時にも「障害情報」、日常では「過去のインシデント情報」「対応策」「代替案」などを用意し、ユーザ対応することが望ましい。

 サービスデスクは、ユーザからの問い合わせをインシデントとして記録し、初回回答、より詳細な2次回答など、解決までの道筋を明確にすることにより、ユーザの「置き去り」「たらい回し」などの不快、不満を取り除き、満足度を高めるまでをその主目的としている。大切なことは、様々なユーザから寄せられた情報を共有し、アクセスするユーザへ的確に伝えること、初回回答で「解決」することである。

 システム障害の復旧予定時間を告知できない場合、予定時間を過ぎているのに「お詫び」や正確な「復旧終了時刻」が伝えられない場合は、ユーザの満足度が急速に低下する。こうした事態が続いた場合、ビジネス展開そのものに支障をきたすことも想定される。「よくある事例(マニュアル)を見てください」(置き去り)、「専門部署へ連絡をし直してください」、または「担当部署へ回しますのでお待ちください」という回答(たらい回し)は、著しくユーザの不快感を高めるので、早急な改善が必要である。

 システムの「復旧」にめどがつかない場合には、ユーザの業務が中断しないように「代替案」を示す必要も出てくるだろう。このような対応も含め、サービスデスクでの解決率が高まることで、逆に専門部署での「回答率」は下がり、ひいてはITサービス継続性に対するユーザ満足度も高まることになるのである。