
■キャパシティ管理
ITサービスマネジメントにおけるキャパシティ管理の目的は、ビジネス展開においてIT活動に必要なリソースを、適正なコストで確保することにある。それはハードウェア、ソフトウェアから人的資源にまで及ぶ。キャパシティ管理を行うためには、キャパシティに対するコスト、需要に対する供給の2点に着目し、前者は購入したリソースの処理能力に対するコストが適正か、またはコストに見合った効率を発揮しているかが問われ、後者はリソースの利用可能性がビジネス上の需要に見合ったものになっているのかが問われる。
その管理プロセスは、
1.事業キャパシティ管理
2.サービスキャパシティ管理
3.リソース・キャパシティ管理
からなる。
事業キャパシティ管理は、ITサービスにおける必要なリソースを将来展望(事業計画)に沿って確保することであり、サービス動向を予測しながら規模を把握し、モデル化して、将来の業務要綱を推測することである。たとえば、CPUがデータベース接続、レコード検索、データ更新、接続切断という一連のトランスザクション処理を実行する際に、どの程度の容量を必要とするかを分析し、それを踏まえた上で、ビジネスの成長予測をもとにリソース管理を絶えず行うことが求められる。
サービスキャパシティ管理は、運用中のITサービスのパフォーマンスについて、SLA(Service Level Agreement)に記載されている目標値に基づいてサービス全般を監視、分析、調整しながら的確に管理し、定期的に報告することでサービス内容の把握と質の見直しを行うことである。ITサービスのパフォーマンス上の問題を、ネットワーク、ハードウェア、オペレーションシステム、アプリケーションの稼動から人的パフォーマンスにわたって、適正範囲値に照らし合わせ、対処・運用することが求められる。
リソース・キャパシティ管理は、ITのインフラとITコンポーネントの稼動率を監視し、サービスキャパシティ管理と同様にそのプロセスの分析、調整、報告を必要とする。事業キャパシティ管理とサービスキャパシティ管理に基づき、データ収集、分析、トレンド把握、インシデント管理、問題管理に備えなければならない。
■ITサービス財務管理
ITサービス財務管理の目的は、ITサービスに必要とされるリソースを確保するために、まず費用対効果に見合ったIT投資の基礎データを把握し、経営に活かすことにある。
ITサービス財務管理は、
1.IT予算の管理
2.IT会計
3.課金
からなる。
IT予算の管理は、ITサービス予算を計画し、費用対効果に基づいて管理することにある。予算配分は、中長期計画を前提に前年実績対比で検討され、ビジネス部門とIT部門とですりあわせの上、ITサービス提供に必要なハードウェア、ソフトウェア、各ライセンス、人件費など、必要な経費を見込むことが求められる。
IT会計は、決定したIT予算の用途(収入・支出)を管理し、必要なコストの正確な把握と管理を行う。その仕事は、IT部門に専用人員が配置されてその把握を行う場合と、通常の財務・経理担当が行う場合があるが、どちらも企業の財務管理方針に則して行われる必要がある。
課金は、ITサービスの供給に必要なコストをユーザに課金することである。ユーザのサービスに対するコスト意識の醸成、ビジネス展開に見合ったコスト負担を明確にする上で必要となる。それは、IT投資とサービスの関係を最適化するとともに、サービスの質の向上にもつながるものである。
課金をするためには当然、課金管理とコスト管理を行い、ビジネス展開上その適正なバランスを維持しなければならない。課金はITサービス財務への予算配分に直結するため、ユーザに負担感や不公平感が出ないように、「一律ユーザ負担」「個々のサービス負担」の差を明確にして価格設定することが求められる。