■06/10/02 【第24回】情報ネットワーク社会から顧客を賢く守る 第8回

■個人情報取り扱いに関する基本
 このシリーズでは、個人情報保護の観点からネットマーケティングをおこなう企業のプライバシーポリシーの基本に照らし、「個人情報収集」の問題点を確認し、主にWeb上の商取引の現状、問題点、対処についてみてきた。しかしながらプライバシーポリシーの作成は、法的には放送、金融、医療、介護などの分野を除き、義務化されていないのが現状である。事業者が「個人情報の取り扱い」に関する方針を定め、それを掲示するかしないかは、あくまでも企業のポリシーの問題なのである。


 プライバシーポリシーを策定し公表することで、消費者の企業に対する「個人情報保護」の安心感を高め、企業の好感度や信頼度が向上することから、企業活動の一助になることは確かである。それは、「情報ネットワーク社会のリスクから顧客を守るためのスタート地点に立った」ということができるだろう。

 プライバシーポリシー作成上の主なポイントは2点ある。

1.事業者が個人情報の利用目的をあらかじめ公表した場合、個人情報の取得のたびに利用目的を本人に通知する必要がなくなる(個人情報保護法18条)。
2.取得した個人情報の利用目的を本人の知りうるようにしておく必要がある(同法24条)。

 この2点を考慮した場合、本人に通知することが適当ではない場合を除き、想定される利用目的を記載、掲示することが望まれる。インターネットでは、Web上でその記載ページを閲覧しやすいように用意する必要がある。また事業者の氏名・名称、開示・訂正・利用停止の要求の手続き方法、苦情連絡先も掲示することが必要となる。

 またオプトアウト(本人が拒否しない限りにおいて、個人情報の利用、提供を了承することとする取り決め)についても、記載する必要がある。オプトアウトの規定は2点ある。

1.第三者へ提供するデータは、本人の要求に応じて提供を中止すること。
2.取得した個人情報事項について、あらかじめ本人に通知し、本人が容易に知ることができるようにしておくこと。提供する目的、提供される個人データ内容、提供の手段と方法を明確にすること。

 但し、金融、信用業においては、オプトアウトの措置は禁止または制限されている。与信情報は、個人の返済能力を含むものであるからである。

■情報ネットワーク社会のリスクから顧客を守る
 事業者はともすれば、情報ネットワーク社会のリスクは外部からの情報システムへの攻撃、情報撹乱、情報盗難と内部からの機密情報漏洩、情報転出を思い浮かべがちである。しかし、すべての事業が顧客なくしてはありえず、また従業員なくしてはありえないことを基本に考える必要がある。個人情報は対外的な顧客情報だけではなく、従業員の情報も個人情報に含まれるのである。一般消費者をもたない企業の場合も、従業員の個人情報を守ることが求められる。労働者の健康情報や所得情報、経歴・職務・評価情報など、大変センシティブで個人性の高い情報については、十分に情報保護の対策を講じなければならない。

 個人情報保護法は従業員の個人情報を考慮した法ではないため、特別な事項が設けられてはいない。しかし、厚生労働省から「雇用管理指針」が2004年に公表され、「行動指針」が次いで出されたことから、従業員の個人情報についても、十分な配慮が求められることになった。

 「管理指針」では、第三者に情報を提供する場合は、文書をもって事業者の了承を得ることを、本人の同意とともに規定している。また「雇用管理」に関する事項については、事前に労働組合と協議し、重要事項については、従業員に知らせることを望ましいことと定めている。

 このように、個人情報保護は、顧客、企業、従業員にまで、その視野を広げることが求められているのである。