■06/04/10 【第12回】BS15000の取得の狙いとメリット 第2回

■認証資格取得のメリットと情報戦略
 BS15000取得のメリットは下記の4つがある。

1)ITサービスマネジメントの継続的な品質保証による対外的信用の向上
2)ITサービス開発コスト、ITデリバリーコスト、ITサービスによる予算管理・会計管理コスト・財務管理コストなどの長期コストの削減
3)経営・技術・営業・物流・生産現場など、社内の情報伝達、コミュニケーションの向上
4)社内外におけるビジネス環境の変化へのすばやい対応、ビジネス目標達成におけるリスク軽減、顧客サービス向上とニーズの開拓といった経営効率の向上


 しかしながら、BS15000は、経営戦略の一環として情報戦略に位置づけられることで、はじめてその効果を発揮することはいうまでもない。ITIL導入・BS15000の取得により、経営戦略はITをそこに役だてるという段階から脱し、ITサービスマネジメントそのものから「戦略を導きだす段階」に入る。経営戦略は、IT活用によってもたらされる「知の体系」からアウトプットされた情報体系に、意思決定を織り込んで作成されるようになる。

 そうして各企業は、IT活用の上に積みあげられた情報を、組織の体力、体質、目標にそって活用し、「経営戦略」を組み直す。この情報活用に際しては、3つの企業特性が導かれる。

ⅰ)リスク回避に関心が高く、情報セキュリティ・情報ガバナンスを重視する企業(情報産業・金融機関など)
ⅱ)顧客サービス、企業収益拡大を重視する企業(サービス業・製造業など)
ⅲ)ⅰ),ⅱ)の一方に偏っていない企業。情報投資と資金投資をおこなえる企業(大企業)と、あまりおこなえない企業(中小企業)とがある。

 ⅰ)の企業は、情報セキュリティ・情報ガバナンスそのものが、サービス・信用となる。その場合、ⅱ)を高めすぎることは、かえって信用リスクが高くなることを意味する。またⅱ)の企業は、ⅰを高めすぎると「愛想」のない、冷たい「イメージリスク」を背負うことになる。多くの企業は、ITILの導入と、BS15000の取得の際に、このような企業特性を考慮し、情報戦略、経営戦略に役立てている。

■BS15000取得の「抵抗」と「理解」
 ITIL導入、BS15000取得に際しては、各セクションの現状把握にとどまらず、会社組織の特性をよく分析し、把握した上で目標を設定する必要がある。その際には、人・物・金・情報のうち、「物」と「金」を動かす「人事」と「情報」が大切になる。歴史的に、人事管理は集中型、情報管理は分散型が多い日本の企業は、ITIL導入からBS15000取得に際して、各企業の特性にそって、当面は次の3つの方向性に「最適化」されるだろう。

①人事集中・情報集中型の「中央集権型組織」
②人事分散・情報分散型の「自立専門型組織」
③人事分散、情報集中型の「機能統制型組織」

 ②のタイプは、IT企業にみられるような高度な専門家集団で可能になる理想的形態だが、現状の組織をこのタイプに急激に変化させるのは過度なリスクを背負うことになる。

 多くの企業で「最適化」されていく組織形態は、③のタイプになるだろう。そこで予測されることは、情報一元化によっておきる各部署からの「抵抗」である。ITIL導入、BS15000取得にあたり、社内の「権限委譲と意思決定の自由度の高まり」を考慮した上で、人事権と情報権のバランスをもって「社内調整」にあたり、各セクションの「抵抗」を和らげなければならない。そうした「調整」を重ねることで、社内コミュニケーションが向上し、新しい組織風土の芽が生まれる。

 ITIL導入からBS15000取得の目的は、ITサービスに関する「人」と「技術」を継続的に融合させ、そのプロセスを継続的に管理し、改善することによって、ITサービスマネジメントを経営戦略に一体化させることにある。その取り組みは、冒頭にあげた1)~4)のメリットに、絶えずビジネスの付加価値をつけ加えていくことになる。