■06/02/13 【第8回】資産情報の開示のポイント

 2008年に導入が予定されている「日本版SOX法」は、企業に対して、正しい手続きで、正確な財務諸表の作成を行うように求めている。それは、一目してそのプロセスがわかるように開示することを意味している。近年欧米では、有形資産(固定資産・流動資産)に加え、無形資産(人材・組織・情報)を開示することも、消費者、株主との関係から望まれている。企業は有形・無形の資産を開示し、より多くの情報を発信することで、市場から評価される機会が増え、資金調達コストが下がり、株価が上がるメリットがある。それは知的資産が増し、企業の「価値創造」を生み出しやすいシステムを導く好循環を生み出す。


 このように、国際化の流れのなかで企業に求められる情報開示は、まず企業の基本情報となる有形資産の情報開示の正確性と信頼性を高めることにある。有形資産の開示は、損益計算書上で、流動資産と固定資産を足した総資産として計上される。固定資産は、各固定資産の耐用年数(使用予定期間)を想定し、残存価額を算定し、固定資産の取得価額から残存価額を差し引いた金額を、固定資産を使用する各期間にわたって配分され、計上される。

 当然だが、IT関連機器もこの固定資産の対象となる。故障のため放置してある機器は、原価償却の対象にならないが、補修・管理され、稼動できる状態にあるものは減価償却することができる。また、企業(法人)が取得した資産のうち、その使用期間が1年未満のもの、取得価格が消費税を含め(税込み処理の場合)10万円未満のものは、「消耗品費」として経費(損金)処理することができる。しかし、気をつけなければいけないことは、例えばパソコンの場合は、ディスプレイが7万円、本体が9万円、キーボードが1万円、プリンターが3万円であった場合、個々の資産は10万円未満だが、単体では機能しないことから、合計20万円として減価償却資産として考えなければならない。

 リース使用の場合は、リース契約の内容によって取り扱いは異なる。まず、割賦販売のようにリース期間が定められている場合、リース期間終了時に資産の所有権が多くは使用者に移転する。この場合は、固定資産と同様に、「リース資産」として計上し、リース料を資産計上し、減価償却費・利息・保険料・固定資産税を費用計上する必要がでてくる。

 他方、フィナンシャル・リース扱いで所有権が移転しない場合やオペレーティング・リースの場合は、経費処理扱いになる。この場合は、決算報告書で注記をする必要がでてくる。(商法計算書類規則第18条の2(現・商法施行規則第66条)「リース契約により使用する重要な固定資産は、注記しなければならない。ただし、資産の部に計上するものは、この限りでない。」)

 その他、レンタル使用の場合は、レンタル料を費用計上(損金処理)するだけで済む。ハードウェアの保守料は経費扱い。ネットワーク費用も、経費扱いとなる。パッケージ・ソフトウェアは、購入すれば、ライセンス料は無形固定資産として計上される。外部委託費(コンサルティング・アプリケーション開発・運用管理などを含む)も、無形固定資産として計上される。

 企業の信頼性を高め、リスクを回避することを目的とする「日本版SOX法」では、資産に応じて、有形・無形の固定資産を経費として区別、処理し、計上することが、まず求められている。

 その意味から、このような情報処理をトータルに担うITIL(IT Infrastructure Library)が、「正確な情報」のプロセス管理を保証し、各部門ごとに分かれていたIT管理プロセスを整理、再統合し、効率、効果の面から最適化する意義も高まってくる。資産管理をIT情報管理下におき、購入から使用、ライセンス管理、セキュリティ対策、移設(組替え)、契約、支払、廃棄にわたる一つのサイクルを持ったシステムに対応するものと考えることで、企業経営の透明性、リスクの回避、コンプライアンス(法令遵守)活動への取り組みが強まり、企業価値が自ずと高まるものと考えられる。