
マイクロソフトから、5年ぶりとなる新しいOS「Windows Vista」が発売されました。さまざまな新機能が搭載されていますが、特にここ数年でニーズが高まっているセキュリティ機能が強化されていることが大きな特徴となっています。前編となる今回は、Windows Vistaに移行するメリットと、移行の際の問題点をご紹介していきます。
■セキュリティ機能が重視されたWindows Vista
2007年1月30日、Windows Vista(TM)が発売されました。Windows XP以来、5年ぶりの新しいOSとなりました。4種類のエディションが用意され、ダウンロード版のみの提供となるWindows Vista Enterpriseも合わせると、個人用途からビジネス用途まで幅広く対応したラインナップとなっています。Windows Vistaはファイルシステムにも大きな変更が見られますが、セキュリティ機能を重視していることが特徴となっています。
数あるOSの中でもWindowsは特にユーザが多く、トラブルが発生した際の影響も大きいため、常にウイルスやワーム、不正アクセスなどのターゲットにされる傾向があります。企業が内外からの脅威に対応していく上で、Windows Vistaのセキュリティ機能は強い味方となることでしょう。Windows Vistaのセキュリティ機能に対する関心の高さは、さまざまな調査結果からもうかがい知ることができます。
ガートナー ジャパンが2007年2月に発表した「企業のビジネス・ワーカーがパーソナル・コンピュータ(PC)のオペレーティング・システム(OS)を更新する目的についての調査結果」においても、「セキュリティを高めるため」という回答が最も多いという結果となりました。同社が2000年に実施した調査では、「OSの安定性」「ハングアップ、フリーズの解消」など、安定した稼働が重視されていましたが、現在では「安定稼働」から「安全稼働」に意識とニーズが移行しているものと考えられます。
■Windows Vistaの導入は時間の問題
このような状況から、企業のIT担当者は遅かれ速かれWindows Vistaの導入を考えることになります。MicrosoftからPCメーカーに対するWindows XPの販売は2008年1月31日で終了し、オリジナルのPCを製造するシステムビルダーへの販売も、その1年後に終了するという報道もあります。たとえ、できる限り導入を先延ばしにしたとしても、既存PCの買い替えや、新入社員用PCの買い増し時などに、Vistaしか入手できない日はそう遠い先ではありません。
セキュリティ上の理由からもPCのOSを最新のものに更新する必要があることも、導入の重要なポイントになります。前述の調査結果からわかるように、現在ビジネスユーザが業務で利用するPCのOSを更新する目的は、かつての「安定稼働」から「安全稼働」へと意識とニーズが変化しています。マイクロソフトはWindows XP Home Editionのサポート期間を延長するという発表を行っていますが、すでにサポートが打ち切られたWindows Meなど古いOSを使い続けていると、新たなセキュリティホールが発見されても、それを修正するパッチがベンダから供給されません。
このような状態のPCを企業で使用することは非常に高いリスクを負うことになります。また、Windows Vistaは強化されたセキュリティ機能の高さが魅力のひとつでもあり、同時に最新のOSであることからWindows XP以前のOSで判明しているセキュリティホールはすべて検証、対策済であると考えられます。
このほかエンドユーザ側には、Vistaにより実現できる新機能を利用したいというニーズもあります。5年前に発売されたOSよりも最新のOSの方が、現在のニーズや周囲の環境により即した機能が搭載されています。特にWindows Vistaではネットワークやインターネットを活用したコラボレーション機能が用意されているなど、業務の効率化に有効な多くの機能を搭載しています。
■Windows Vistaへの移行には、18ヶ月の準備期間が必要!?
しかし、Vistaへの移行、導入に際して、IT担当者が抱える問題が大きいことも事実です。まず最大の問題点として、既存のハードウェアにWindows Vistaを搭載できるかどうかの確認が必要になります。Windows Vistaは、さまざまな機能を実現するために、従来のOSよりもハードウェアの要求性能が高くなっています。また、CPUやメモリ、グラフィック性能など記載されているスペックをクリアしていても、マザーボードが対応していないというケースもあるため、問題なく動作するかどうかの判断が難しくなっています。
また同様に、現在業務に使用しているすべてのアプリケーションがWindows Vistaに対応しているのか、あるいは対応する予定があるのかという確認も必要になります。たとえアプリケーションが起動しても、機能の一部が使用できなかったり動作が不安定になることもあります。これはハードウェアに関しても同様で、Windows Vistaの発売から3ヶ月を過ぎた現在でも、たとえばプリンタ複合機やUSB接続のボイスレコーダなど、一部のドライバではWindows Vistaに対応していないものがあります。企業で使用しているすべてのソフトウェア、ハードウェアの対応状況を確認する作業が必要になり、それは決して少ない工数ではないのです。
Windows Vistaへの移行計画も重要な問題のひとつです。たとえば、既存環境を順次移行するのか、あるいはある程度一度に移行してしまうのか、または、リプレースや追加分からVista搭載マシンを導入していくのかといった計画を立てる必要があります。同じWindowsであっても、XPとVistaではファイルシステムも異なり、コントロールパネルなどの設定項目も変更を受けています。一度に移行する場合は設定作業に手こずる可能性が考えられますし、Vista搭載マシンを導入した方が動作は安定するものの、バージョンアップよりはるかにコストがかかることになります。
導入に際してテスト環境の構築、テスト環境でのチェック、テスト運用など実際のマシンでの移行前の準備に費用と時間がかかることも無視できない問題といえるでしょう。ガートナー社が2005年に発行したリサーチレポートでは、ほとんどの企業でVista導入前に、平均18ヶ月の準備期間が必要という結果も報告されています。では、どのようにすればスムーズにWindows Vista環境へ移行できるのでしょう。後編では、Windows Vista環境への移行に有効なソリューションをご紹介します。