■06/12/25 グローバルに展開するブランド力を維持するため「LANDesk® Management Suite」で情報セキュリティのプラットフォームを確立

車載AV事業を展開するアルパイン株式会社は、企業内の情報セキュリティを強化するため、2005年12月に「LANDesk® Management Suite」を導入しました。今回は、同社の社内インフラの企画・設計から導入、運用を担当する部門責任者の阿部晴彦氏に、導入までの経緯とLANDesk製品に対する評価を伺いました。


阿部氏アルパイン株式会社
情報推進部 情報技術グループ マネージャ
BS7799リードオーディタ
阿部 晴彦氏


■導入の背景
開発段階の情報漏洩を防ぎ、模倣品からブランドを守る

アルパイン株式会社は、アルプス電気とモトローラ社の合弁会社として1967年に設立。1978年に現社名に変更し、1991年には東証一部に株式上場を果たしています。現在は、車載AVを専業とし、おもにカーオーディオやカーナビゲーションシステムの開発・製造・販売を展開しています。売上比率は、2007年3月期予想によると、自社製品が24%、OEMが76%で、地域別売上比率は、米国37%、欧州39%、日本14%、アジア・オセアニア10%と、海外ブランド力が飛び抜けて高いのが特徴です。近年、取引先である自動車メーカーの製造拠点が海外にシフトしていることから、欧州、中国、北米に製造・開発拠点を置くなどしてグローバルに展開しています。

同社が社内のPC資産管理の強化に本格的に乗り出したのは、2004年ごろのことでした。
「中国・韓国の市場で、アルパイン製品の模倣品が出回るようになりました。造作はひどくても、性能が高く、値段も当社の半額です。市場に出た後から真似されるケースは過去に何度もありましたが、仮に市場に出る前に情報が漏れて先に模倣品が出回ることになれば、アルパインのブランド力をもってしても信用は回復できない、と危機感を抱きました」と、阿部氏は当時の状況を振り返ります。

同社のビジネスの7割は、新車に搭載されるOEM製品です。近年の車載AVのトレンドはデザインを重視した専用設計で、モデルチェンジに備えて自動車メーカーと共同で開発を進めています。そのため、情報の秘匿性は従来にも増して高まっていました。

「お客様から信頼される企業であり続けるためには、情報セキュリティの強化は死活問題です。ところが、当時は各部門が独自予算でPCを購入し、サポート外のOSを利用しているケースも多くあったため、情報システム部門は会社全体のPCやサーバの台数すら把握できていませんでした」。

そこで、同社の情報システム部門は、以下のような施策を段階的に実施することにしました。

  • 社内のPC台数を正しく把握し、正確な状態を保つ仕組みを構築する
  • PC台数を把握した段階で、ライセンスやソフトウェアなどの利用状況を調査して一元管理する
  • 資産を確定した後は、未承認PCの不正接続を排除する
  • 電子情報の暗号化や監視ツールの導入へステップアップをはかる

これらを実現するために、ロードマップを作成し、抑止、予防、検知、回復とそれぞれのドメインに分けて検討を開始します。その中の「検知」の部分にPC資産管理ツールを導入することが決まり、さっそく製品の検討に移ります。


■導入決定のポイント
日・中・英の多言語対応と、導入コストが選択の決め手となった

製品選定のプロセスとして、1次選定と2次選定の2段階に分けて検討することにしました。第1次段階では、PC資産管理ツールをリリースしているベンダー15社をピックアップし、RFP(導入システムの概要や調達条件などをまとめたシステムの提案依頼書)を送付します。次に、返信された提案書をチェックして、選定条件にあった上位3社の製品をセレクト。2次審査に向けて技術検証を実行しました。

「RFPの主旨を正しく理解して提案書を提出した会社は、全15社中8社でした。中には製品カタログだけを送ってきたり、営業担当者が直接面会に来たベンダーもありましたが、アカウンタビリティを重視してすべて対等の条件で判定しました」(阿部氏)。

1次評価の基準は、RFPのリクエストに対して寄せられた提案書に基づき、品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)の3点からチェック。品質評価では、機能性の面で「LANDesk® Management Suite」が日本語、英語、中国語にデフォルトで対応していることが大きな評価ポイントとなりました。阿部氏は、「操作画面が中国語や英語に対応しているだけでなく、中国語や英語の名称を持つソフトウェアのインシデントに対応できることも大きなファクターとなりました」と話します。

提案書レベルで上位3社に絞った後は、製品のデモ版を試験導入して技術面の評価を実施。2次選定では導入時と導入後4年間の運用費用を含めてコストを厳密に評価し、運用者の意見収集や追評価を経た結果、QCDすべての面で「LANDesk® Management Suite」が最も高い評価を受けて導入が決まります。「品質・機能面では3社とも大差はありませんでしたが、海外展開で国産メーカー1社は体制が弱く、残りの2社でコストを比較すると、国内グループ会社への展開で約25%安価であったことが決め手となりました」(阿部氏)


■実際の運用状況
不正PCの排除で情報漏洩を防止し、ソフトウェア配布機能を使ってパッチを一斉にインストール

「LANDesk® Management Suite」の導入に際しては、エージェントの導入に最も時間を割いたといいます。「部署によって理解度が低かったり、遠隔インストールを嫌うなどといったことで、導入がスムーズに進みませんでしたが、情報システム部門が各部署に地道に頭を下げて回って何とか実現にこぎ着けました」と、阿部氏は振り返ります。

その結果、当初の目的どおり、日本、中国、欧州の各拠点にサーバを立て、それぞれのエージェントPCを集中コントロールできるようになりました。2006年10月末現在のインストールPCサマリは、日本5,091台、欧州514台、中国1,038台の全6,843台で、現在も日々増え続けています。

導入に際して重視した点は、運用関連の資料でした。「LANDesk® Management Suite」は、権限を持つ人がエージェントをコントロールできる強力なツールであるため、使い方を誤るとトラブルを生みかねません。そのため、使用時の承認事項を重視し、運用関連の資料作成に多くの時間を費やしました」(阿部氏)

m0612_02.jpg「LANDesk® Management Suite」を導入した結果、情報システム部門で承認したPC以外は、ネットワークに接続した瞬間に不正PCとして判断され、社内LANから排除することで、情報漏洩とウイルス感染の防止ができるようになりました。さらに、インベントリ情報とPCの台帳とを定期的に突き合わせて管理サーバにインベントリ情報がないPCをピックアップし、漏れがないように対処しているといいます。

また、「LANDesk® Management Suite」のソフトウェア配信機能を利用してパッチファイルを一斉に配信したり、必要なソフトウェアを情報システム部門が遠隔インストールしています。これにより、どの社内のどのPCも常に最新の安全状態に保つことができ、アプリケーションの不正インストールを防ぐことができました。

また、ログ取得ツールを配布すれば、配信したPCの利用状況が把握できるので、従業員が会社のPCを外部に持ち出してWinnyなどのファイル交換ソフトを利用したとしても、履歴を収集・監視することでチェックすることができます。


■将来の展望と今後期待すること
情報システム部門のセキュリティ権限をさらに強化していきたい

「LANDesk® Management Suite」の導入で、必要としていたさまざまなセキュリティの施策が実現しました。
「だからこそLANDeskには、サポートの質およびレスポンスの向上、他ユーザにおけるトラブル事例の迅速な開示、製品ロードマップの長期的見通しの提示と新機能の迅速なユーザへの技術情報開示を望みます。日本での本格展開が進んでいる今は、その問題点も改善されつつあると信じています」と、阿部氏は期待をこめて話します。

「PC資産管理ツールの導入で、社内のセキュリティレベルは格段に進歩してさまざまな施策が実現しました。今後は、すべてのファイルの暗号化や、全クライアントPCの中央コントロールなど、情報システム部門を中心としたセキュリティ環境をより強固にしていきたいと思います」。

以上のように、アルパイン株式会社がわずか1年半足らずの間に問題の掘り起こしからシステムのカットオーバーまでたどり着けた理由は、経営責任者が抱いた危機感を解消するべく、情報システム部門が強い信念のもとに任務を遂行したからに他なりません。導入に際しては、RFPの策定、1次審査、2次審査とISO9126に基づく手順を踏み、導入フェーズをオープンにしたことで、内外からのコンセンサスも得られました。同社の事例は、さまざまなシステム導入の際の参考になるはずです。


■導入企業の紹介

アルパイン株式会社

カーナビ、カーオーディオのトップブランドとして、先進的な製品開発を展開。車のIT化が進む中、Audio、Visual、Navigation、Communicationの「AVNC」技術を背景に、次世代の車載情報機器を提案するソリューションカンパニーを目指している。

設立:1967年5月10日
本社:東京都品川区西五反田1-1-8
代表取締役社長:石黒征三
資本金:259億2,000万円
売上高:2,539億8,300万円(2005年度連結)
従業員数:9,863名(連結ベース)
事業所:いわき事業所(福島県いわき市好間工業団地20-1)
事業内容:カーAV機器の開発・製造・販売
http://www.alpine.com/


『interchange2006』導入事例紹介の講演資料はこちら
http://www.landesk-kk.com/cont/column/alpine_jirei.pdf